認知症と診断されてから、できなくなったことばかりが目についてしまう。ご本人のためを思って手を貸すほど、表情が曇っていく気がする——。ご家族からよくお聞きする、切実な悩みです。
けれど、認知症になっても「こうしたい」「これが好き」という気持ちは残り続けます。この記事では、「できない探し」から離れて、本人の「やりたいこと」を支援の中心に置く考え方をご紹介します。

「今日は何日?」「これ覚えてる?」という確認は、心配から出る言葉です。しかし本人にとっては毎日が試験のようになり、間違えるたびに自信を失っていきます。関わりの目的を「確認」から「一緒に楽しむ」に変えるだけで、表情は変わります。
火の消し忘れや外出時の迷いを心配して、家事や外出をすべて取り上げてしまうと、本人の役割と出番がなくなります。活動が減ると心身の機能はさらに低下し、悪循環に。「危ないからやめる」ではなく「安全にできる形に変える」が基本です。
記憶は薄れても、長年の習慣、好み、誇りにしてきたことは残ります。料理上手だった方は手際の良さを、働き者だった方は役割を求める気持ちを持ち続けています。そこに目を向けることが、支援の出発点になります。
周囲が先回りしてすべて決めるのではなく、「どっちがいい?」と本人に選んでもらう。小さな選択の積み重ねが「自分の人生を自分で決めている」という感覚を守ります。これは認知症ケアの世界で大切にされている考え方です。
長年やってきたことは、身体が覚えています。洗濯物をたたむ、野菜の皮をむく、植物に水をやる——慣れた役割の中では、驚くほど生き生きと動ける方が多くいます。「できること」は、探すのではなく思い出してもらうものかもしれません。
大きな目標より、今日の小さな「できた」。周囲がそれに気づいて言葉にすることで、本人の中に達成感が積み重なります。正解・不正解で測らない活動が、参加する意欲を育てます。
若い頃の仕事、趣味、得意料理。昔の話をするときに表情が明るくなる話題があれば、それが糸口です。「またやってみますか」と誘うより、まず道具を近くに置いてみるなど、自然なきっかけづくりが効果的なこともあります。
「何がしたい?」という自由な質問は、答えるのが難しいことがあります。「散歩とお茶、どっちにしますか」のように選択肢を2つに絞ると、本人の意思を引き出しやすくなります。
手順を1つずつ声かけする、道具を使う順番に並べておく、静かな場所で取り組む。環境を少し整えるだけで「できること」は増えます。本人を変えようとするのではなく、環境を本人に合わせるのがコツです。
Q本人が何もしたがらないときは、どうすればいいですか?
A「やりたくない」の裏に、失敗への不安や疲れが隠れていることがあります。無理に誘わず、周囲が楽しそうにしている様子を見せる、好きだった音楽を流すなど、参加のハードルを下げる工夫から始めてみてください。
Q挑戦して失敗したら、余計に落ち込むのではないでしょうか?
A失敗が目立たない形に活動を設計することが大切です。正解のない創作や、途中まで準備された作業なら、失敗体験になりにくくなります。デイサービスでは専門スタッフがその調整を行います。
QRDCの認知症プログラムでは、どんなことをするのですか?
A正解を求める課題や記憶テストは行いません。その方の興味・経験・その日の状態に合わせて、身体を動かしながら頭を使う活動や創作、役割のある時間をつくります。詳しくは見学時にご説明します。
認知症のケアは、失われたものを数えることではなく、残っている力と「やりたい」という気持ちを一緒に見つけていくことから始まります。RDCでは、できる・できないを評価しない時間を大切にしています。ご家族だけで抱え込まず、まずは見学で雰囲気をご覧ください。
まずは、見学・体験から。
実際の設備やプログラムの雰囲気を、ぜひご覧ください。ご本人・ご家族はもちろん、ケアマネジャーの皆さまからのお問い合わせもお待ちしています。